ラーメン店の倒産は1〜9月で56件、業歴10年以上が64.3%。10月1日発表の帝国データバンク調査から読む、「千円の壁」の前で客数を落とさない麺の店が今週やる3つのこと

帝国データバンクが10月1日に発表したラーメン店の倒産は2026年1〜9月で56件と、前年1年間の60件に迫っています。業歴10年以上の店が64.3%を占め、原材料費・人件費の転嫁の難しさと「千円の壁」が背景です。数字の読み方と、麺の店がGoogleマップで今週見直す3つのことを整理します。
先に結論をお伝えします。帝国データバンクが2026年10月1日に発表した調査で、ラーメン店の倒産は2026年1〜9月で56件となり、前年1年間の60件に迫っています。しかも倒産した店のうち業歴10年以上が36件(64.3%)を占めました。
背景として挙げられているのは、原材料費・人件費の上昇を価格に十分転嫁できなかったことと、ラーメン特有の「千円の壁」です。長く続いた店ほど「値上げしたら常連が離れる」と迷いやすい今、値上げの前に「何にお金を払う店なのか」を検索の段階で見せておくことが大切になっています。
こんな悩みはありませんか?
- 原材料も人件費も上がったが、1杯の価格を上げる踏ん切りがつかない
- 値上げしたら、昼のお客様が少し減った気がする
- 近くに新しい麺の店ができ、新規のお客様が来にくくなった
この記事で分かること
- 10月1日発表のラーメン店倒産調査で、何が起きているか(公式発表の事実)
- 「味が良ければ値上げしても大丈夫」とは言い切れない理由
- 値上げしても客数を落としにくくするために、Googleマップで今週見直す3つのこと
10月1日発表のラーメン店倒産調査(公式発表の事実)
帝国データバンクの集計は、負債1,000万円以上の法的整理による倒産が対象です。自主的な閉店・廃業は含まれません。主な数字は次のとおりです。
| 指標 | 数字 |
|---|---|
| 2026年1〜9月の倒産件数 | 56件 |
| 2025年1年間の倒産件数 | 60件 |
| うち業歴10年以上(2026年1〜9月) | 36件(64.3%) |
| うち業歴10年以上(2025年1年間) | 25件 |
レポートでは、要因として次の点が挙げられています。
- 原材料費や人件費の上昇を、販売価格に十分転嫁できなかった
- 「千円の壁」と呼ばれる価格の心理的な上限があり、利益率が下がった
- 個性の強い店どうしの競争に加え、うどん・そば・パスタなど他の麺業態の人気も広がっている
- 2024〜25年は小規模店の閉業が中心だったが、2026年は中堅の倒産が目立つ
一方で、1杯3,000円を超える高価格帯で勝負する動きや、DX(デジタル化)で効率を上げる動きも紹介されています。つまり業界は「価格を上げて価値を伝える店」と「価格を据え置いて苦しくなる店」に分かれつつある、というのがレポートの読み方です。
よくある誤解:「長く続いている店は、味で選ばれ続ける」
倒産した店の6割超が業歴10年以上だったことは、「長年の常連と味」だけでは守り切れないことを示しています。ここからは見立てですが、理由は2つ考えられます。
1つは、新しいお客様がお店を探す場所が変わったことです。いまはGoogleマップで「近くのラーメン」と調べ、写真・価格・口コミを比べてから入る店を決めるのが一般的です。2026年8月には、Googleマップに会話で店を探せる「マップに相談」も日本で始まり、口コミや店舗情報をもとに候補が示されるようになりました。
もう1つは、値上げの理由が伝わらないまま価格だけが上がると、お客様には「同じ一杯が高くなった」としか見えないことです。値上げそのものより、値上げの「見え方」で客数が変わると考えています。
Point
千円の壁を越えられるかは、味より先に「何にお金を払うのか」が検索の段階で伝わっているかで決まります。
看板・選択肢・時間帯の3つを見直す
① 看板:1杯の価値を写真とメニューで先に見せる
なぜ:初めてのお客様は、店に入る前に価格を見ています。価格だけが目に入り、中身が伝わらないと「高い」で終わります。
どうやる:Googleビジネスプロフィールのメニューに、看板の一杯を価格つきで登録し、説明文に「何が入っていて、何にこだわっているか」を事実で書きます。写真は真上からの1枚だけでなく、麺を持ち上げた写真やスープの断面など、中身が分かるものを足します。
例文(メニュー説明):
特製醤油らーめん 1,180円 鶏ガラと煮干しを毎朝8時間炊いたスープに、自家製の中太麺。チャーシュー2種・味玉・海苔つき。
② 選択肢:客単価を「選べる形」で上げる
なぜ:全員一律に値上げすると、価格に敏感なお客様から離れやすくなります。選べる形にすれば、払いたい人が自分で単価を上げてくれます。
どうやる:基本の一杯は千円前後に残しつつ、特製・トッピング・ご飯ものとのセットをメニューに並べます。Googleマップの写真にも、セットや特製の写真を入れておくと、来店前に選択肢が伝わります。
| 見せ方 | ねらい |
|---|---|
| 基本の一杯(千円前後) | 初めてのお客様の入口 |
| 特製・全部のせ | 満足度の高い一杯を選びたい人 |
| ご飯・餃子とのセット | 昼の客単価を上げる |
③ 時間帯:空いている時間を正しく伝える
なぜ:昼のピークに行列で入れなかったお客様は、近くの別の麺の店に流れます。ピーク以外の時間に来てもらえれば、席数を増やさずに客数を伸ばせます。
どうやる:営業時間・定休日・ラストオーダーを最新にし、中休みや売り切れ終了があれば説明や投稿で伝えます。「14時以降は比較的すいています」など、事実として言えることは投稿で知らせます。
この変化が売上のどこに効くか
ラーメン店の売上は「客数×客単価」で、千円の壁はこの両方に関わります。①の看板の見せ方は、値上げ後も新規の来店数を落としにくくします。②の選択肢は、全員に値上げを強いずに客単価を上げる方法です。③の時間帯は、ピーク外の来店数を増やし、行列で失っていたお客様を取り戻すことにつながります。値上げの判断そのものは、10月の最低賃金と食品値上げに合わせた価格の決め方の試算シートも参考にしてください。
なお、口コミで看板の一杯を伝えてほしいときも、料理名を書くようお願いするのはGoogleのポリシー違反です。料理名が口コミに入ると検索に強くなる理由と、店側でできることはこちらの記事で解説しています。
今週のチェックリスト
- [ ] Googleビジネスプロフィールのメニューに、看板の一杯を価格つきで登録した
- [ ] メニュー説明に、スープ・麺・具材のこだわりを事実で書いた
- [ ] 麺を持ち上げた写真など、中身が分かる写真を追加した
- [ ] 特製・トッピング・セットの写真と価格を載せた
- [ ] 営業時間・中休み・ラストオーダーが最新になっている
- [ ] 値上げするなら、告知の文面と日付を決めた
ヒロガルは200店舗以上を支援しており、うちミシュランガイド掲載店は10店舗です。価格を上げた後も客数を保てているお店は、来店前の段階で「この価格の理由」が写真と説明から伝わる状態をつくっていることが多いと感じています。
まとめ
- 10月1日発表の帝国データバンク調査で、ラーメン店の倒産は2026年1〜9月で56件(前年1年間は60件)でした
- 倒産した店のうち業歴10年以上が64.3%を占め、中堅の倒産が目立っています
- 背景は原材料費・人件費の転嫁の難しさと「千円の壁」、他の麺業態との競争です
- 値上げの前に「看板・選択肢・時間帯」の3つをGoogleマップで見直しましょう
- 口コミで料理名を書くよう頼むのはポリシー違反です。店側の情報で伝えてください
次に読む記事:10月1日、最低賃金と食品3,033品目の値上げが重なる。値上げしても客数を落とさない飲食店が今週決める3つのこと/飲食店のGoogle対策をまとめて知りたい方は飲食店のGoogle集客ガイドへ。
参考:
よくあるご質問
帝国データバンクの「倒産56件」には、自主的な閉店も含まれていますか?
含まれていません。集計の対象は負債1,000万円以上で法的整理となった倒産です。自主的な廃業や閉店はこの数字に入らないため、実際に店を閉じたラーメン店はこれより多いと考えられます。
千円を超える値上げをすると、お客様は離れてしまいますか?
一律には言えません。調査では「千円の壁」で価格転嫁が難しかったことが倒産の要因に挙げられていますが、同時に高価格帯で勝負する動きも書かれています。値上げの幅だけでなく、何にお金を払うのかが写真・メニュー・説明で事前に伝わっているかどうかが、来店の判断に影響すると考えられます。
Googleの口コミに「〇〇ラーメンがおいしかった」と書いてもらうようお願いしてもいいですか?
いいえ。料理名など特定の内容を含めるよう依頼することは、Googleのポリシーで禁止されています。お願いできるのは、内容を指定せずに実体験に基づく投稿をお願いすることだけです。看板の一杯は、メニュー登録や写真など、お店側が出せる情報で伝えましょう。