パーマ代の支出は前年比−33.0%、でも1回の料金は−1.8%。10月9日公表の家計調査から読む、「来店の間隔」が延びる美容室が今週見直す3つのこと「次回の約束・メニューの入口・値下げしない理由」【次回予約の声かけ台本付き】

10月9日に総務省が公表した2026年8月の家計調査では、パーマ代の支出が前年同月比33.0%減、カット代も5.0%減。一方で1回あたりの料金はほぼ横ばいでした。減ったのは単価ではなく来店の回数です。開業数の増加とヒロガルの全国調査もあわせて、美容室が今週見直す3つのことを解説します。
「単価は下げていないのに、月末の売上が少しずつ足りない」「常連のお客様の顔を、前より見なくなった」。この秋、そんな感覚がある美容室オーナーは少なくないと思います。
先に結論をお伝えします。10月9日に総務省が公表した2026年8月の家計調査で、パーマ代の支出は前年同月比33.0%減、カット代も5.0%減でした。ところが1回あたりの料金はパーマ−1.8%、カット−0.5%とほぼ横ばい。減っているのは「単価」ではなく「来店の回数」です。今週やるべきは値下げではなく、「次回の約束・メニューの入口・値下げしない理由」の3つを整えることです。
こんな悩みはありませんか?
- 2か月ごとに来ていたお客様が、3か月、4か月空くようになった
- 近くに新しい美容室ができて、価格で比べられている気がする
- 値下げキャンペーンをやるべきか迷っている
この記事で分かること
- 10月9日公表の家計調査で、理美容の支出がどう動いたか(事実)
- 「回数が減って、店が増える」状況が美容室に与える影響(見立て)
- 来店の間隔を縮めるために、今週から使える声かけ台本とメニュー設計
10月9日の家計調査で分かったこと:理美容は全項目マイナス
総務省の家計調査は、全国の二人以上の世帯が家計簿をつけた結果を毎月まとめる統計です。2026年8月分の消費支出は1世帯あたり310,975円で、前年同月比は名目1.0%減(実質3.1%減)でした。その中で、理美容の4項目はすべて前年を下回りました。
| 項目(二人以上の世帯・名目) | 支出の前年同月比 | 1回あたり料金 | 料金の前年同月比 |
|---|---|---|---|
| パーマネント代 | −33.0% | 9,467円 | −1.8% |
| カット代 | −5.0% | 3,234円 | −0.5% |
| 理髪料 | −3.1% | 2,914円 | +3.8% |
| その他の理美容代 | −4.5% | — | — |
ここで見てほしいのは、右の2列です。支出は大きく減っているのに、1回あたりの料金はほとんど変わっていません。支出=料金×回数なので、計算上は「行く回数」が減ったと読めます。
あわせて、2026年1〜3月の理容所・美容所の開業数は1,883件で、前年同期比50.2%増という民間調査も10月7日に公表されました(美容所は1,690件)。お客様は来る回数を減らし、店は増えている。これが今の美容室を取り巻く数字です。
なお、家計調査の品目別の数字は1か月単位では振れやすい性質があります。−33.0%という値の大きさより、「理美容が後回しにされやすくなっている」という方向感として受け止めるのが正確です。
よくある誤解:「財布が厳しい時代は、値下げで回数を取り戻せる」
値下げをすれば、来る回数は戻るのでしょうか。今回のデータを見る限り、その前提はあやしいと考えています。
- お客様はすでに「1回の料金」ではなく「回数」で調整している(料金はほぼ横ばい)
- 値下げは既存のお客様全員の単価も下げるため、回数が戻らなければ売上は二重に減る
ヒロガルが2026年10月に全国22エリアのホットペッパービューティー掲載店(約3,000店)を調べた結果でも、1ページ目に出す新規向けクーポン価格の中央値は、受賞店が11,900円、カリスマ掲載店が13,884円で、その他の店(11,400円)より高めでした。口コミ件数の中央値は受賞店424件・その他220件です。成果が出ている店ほど、価格ではなく「選ばれる理由」で戦っているというのが、私たちのデータの傾向です(相関であり、価格が高いから成果が出たという因果までは言えません)。
次回の約束:会計で「次の目安」を言葉で渡す
なぜ効くのか
回数を減らすお客様の多くは、店に不満があるわけではなく「なんとなく先延ばし」にしています。先延ばしを防ぐ一番手軽な方法は、帰り際に次に来るとよい時期を、髪の状態を根拠に伝えることです。
どうやるか
会計時に、担当者が次の目安を「週数」で伝えます。予約を取るかどうかはお客様に任せます。以前の記事でも書いたとおり、初回のお客様を2回目につなげる導線を整えた美容室A様では、新規リピート率が19%→37%に上がりました(新規リピート率19%→37%の導線設計)。
そのまま使える声かけ台本
「今日のカラーは、根元が1.5cmくらい伸びる6週間後あたりから気になり始めると思います。その頃に一度ご連絡しましょうか? もちろん、ご都合が見えてからで大丈夫です」
「パーマはこのくらいの長さだと、きれいに出るのが2か月くらいです。次回は毛先を整えるだけなら30分ほどで終わるので、お忙しい時期でも入れやすいですよ」
ポイントは「週数」「理由」「選ぶのはお客様」の3つです。日付を迫らないので、押し売りの印象は出にくくなります。
メニューの入口:「間を埋める」軽いメニューを前に出す
なぜ効くのか
パーマのように1回の金額が大きいメニューほど、先延ばしされやすいと考えられます(パーマ代の減り方が一番大きいのは、その表れの可能性があります)。フルメニューの「間」に来られる軽いメニューがあると、来店の間隔が延びすぎるのを防げます。
どうやるか
クーポンの1ページ目に、短時間・手ごろなメニューを1〜2本置きます。
| 間を埋めるメニューの例 | 時間の目安 | 向いているお客様 |
|---|---|---|
| 前髪カット+眉まわりの整え | 15〜20分 | 毎月は来られない常連 |
| 根元リタッチカラー | 60分 | 白髪が気になる大人世代 |
| パーマの毛先カット+スタイリング提案 | 30分 | パーマ後2か月のお客様 |
お金の話:自店の数字で試算する
「軽いメニューで単価が下がる」と心配な場合は、次の式で比べてください。
- 年間の売上(1人あたり)= 1回の単価 × 年間の来店回数
- 例:単価( )円 × 年( )回 と、単価( )円 × 年( )回 + 軽いメニュー( )円 × 年( )回
年4回が年3回に減るお客様を、軽いメニュー1回で引き止められるなら、平均単価が下がっても1人あたりの年間売上は守れる可能性があります。
値下げしない理由:クーポン文に「この価格の理由」を書く
なぜ効くのか
開業が増えると、新しい店の「オープン価格」と比べられる場面も増えます。価格で並ばないためには、同じ価格でも高く感じさせない説明がクーポン文に必要です。
どうやるか
クーポン文の1行目に「誰の・どんな悩みに・何をするか」を書きます。
- NG:「カット+カラー+トリートメント 11,000円」
- OK:「白髪が3週間で目立つ方へ。根元から染まりを長持ちさせるカラー+カット」
詳しいクーポン名の作り方は ニッチワードのクーポン設計例12 にまとめています。
向かない店・失敗しやすい点
- 席がいつも埋まっている店は、軽いメニューを増やすと高単価の枠を圧迫します。空き枠が多い曜日・時間帯に限定してください
- 次回の声かけを「全員に毎回同じ文で」やると、機械的に聞こえます。髪の状態に合わせた一言を足すのが前提です
ヒロガルの見立て:「来店サイクル」を握る店が、価格競争から抜ける
私たちの見立てでは、これから1〜2年、美容室の売上の差は「新規をいくら集めたか」より「既存のお客様の来店間隔をどれだけ守れたか」でつくようになると見ています。
根拠は今回の2つの数字です。料金がほぼ横ばいのまま回数だけが減っていること、そして開業が前年比+50.2%と店の数が増えていること。この組み合わせでは、新規の取り合いは激しくなる一方で、既存のお客様の「次の1回」を確保できる店は、値下げをせずに売上を守れます。
損をするのは、回数の減少を「単価」の問題だと考えて値下げに走る店です。得をするのは、会計の1分で次の目安を伝え、間を埋めるメニューを用意し、価格の理由を言葉にできる店です。
Point
お客様は料金ではなく「来る回数」で節約しています。値下げより、次の来店の目安を言葉で渡す店が売上を守ります。
今週やることチェックリスト
- [ ] 常連のお客様10人の、直近3回の来店間隔を書き出す(延びているかを見る)
- [ ] 会計時の「次の目安」声かけを、スタッフ全員で1文ずつ決める
- [ ] クーポンの1ページ目に「間を埋める」軽いメニューを1本置く
- [ ] 主力クーポンの1行目を「誰の・どんな悩みに」で書き直す
- [ ] 値下げキャンペーンを検討しているなら、上の試算式で一度比べる
まとめ
- 10月9日公表の家計調査(2026年8月)で、パーマ代の支出は前年比−33.0%、カット代は−5.0%
- 1回あたりの料金はほぼ横ばいで、減っているのは「来店の回数」
- 2026年1〜3月の理美容所の開業は前年比+50.2%。店は増えている
- 打ち手は値下げより「次回の約束・メニューの入口・値下げしない理由」の3つ
- 品目別の1か月の数字は振れやすいので、自店の来店間隔で確かめてから動く
次に読む記事:ヘアサロン利用者の51.0%が値上げを経験、73.3%が納得/まとめガイド:ホットペッパービューティー運用ガイド
参考: - 総務省統計局「家計調査(家計収支編)2026年8月分」 - 理美容ニュース「理美容関連支出は全てマイナス<家計調査2026年8月>」(2026年10月9日) - 理美容ニュース「理美容所の開業数が回復、理容所は2024年同期を29.5%上回る」(2026年10月7日)
よくあるご質問
家計調査のパーマ代−33.0%は、そのまま自店の売上に当てはまりますか?
そのままは当てはまりません。家計調査は全国の二人以上の世帯(約8,000世帯)の家計簿をもとにした統計で、品目別の1か月の数字は振れやすい性質があります。「お客様の財布の中で、理美容が後回しにされやすくなっている」という方向感として読み、自店では来店の間隔(前回から何日空いたか)の変化を確かめるのがおすすめです。
来店の回数が減っているなら、値下げしたほうがいいですか?
今回のデータでは、1回あたりの料金はパーマ−1.8%、カット−0.5%とほぼ横ばいで、減ったのは回数でした。ヒロガルの全国調査(2026年10月、約3,000店)でも、ホットペッパービューティーの受賞店やカリスマ掲載店の新規向けクーポン価格は一般の店より高めでした。値下げより、次回の来店を決めてもらう仕組みを先に整えるほうが効果を確かめやすいと考えています。
次回予約をおすすめすると、押し売りだと思われませんか?
「次はいつがいいですか」と日付を迫るより、髪の状態から「この長さが保てるのは何週間くらい」と目安を伝え、決めるかどうかはお客様に任せる伝え方なら、押し売りの印象は出にくくなります。この記事に、そのまま使える声かけの台本を載せています。