訪日客の9割以上が旅行中に生成AIを使い、31.3%は「予定になかった店」を足していた。10月9日発表の博報堂調査から読む、AIで探す訪日客に見つからない飲食店が今週そろえる3つのこと「英語の料理名と価格・払い方・地域の食」【15分チェック表付き】

博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボが10月9日に発表した5カ国調査では、訪日客の旅行中の生成AI利用率は92.7〜99.5%、AIで予定になかった店や体験を足した人は31.3%でした。言葉と支払いの不安も約3割・2割あります。飲食店が今週そろえる3つの情報をチェック表つきで整理します。
先に結論をお伝えします。博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボが10月9日に発表した5カ国の調査では、訪日客の旅行中の生成AI利用率が92.7〜99.5%でした。さらに31.3%が、AIを見て「予定になかった場所・店舗・体験」を旅程に足しています。
AIが店を勧めるとき、材料にできるのは文字で書かれた情報です。今週そろえるのは、英語の料理名と価格・払い方・地域の食の3つです。
こんな悩みはありませんか?
- 訪日客は増えているはずなのに、自分の店には来ていない気がする
- 英語メニューは店内にあるが、ネット上には載せていない
- 「カードは使えますか?」「予約できますか?」と入口で聞かれることが多い
この記事で分かること
- 10月9日発表の調査で分かった、訪日客のAIの使い方と不安
- AIで探す訪日客に、飲食店が見つけてもらうための3つの情報
- 15分で終わる、Googleマップの確認チェック表
何が発表されたか:訪日客の「AIで店を足す」行動が数字で出た
調査は、1年以内に日本を旅行した20歳以上の人を対象に、2026年3月(中国は6月にも追加)にインターネットで行われました。対象国と主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 対象 | 韓国・米国・中国・タイ・インド、各国200〜258人 |
| 旅行中の生成AI利用率 | 韓国92.7%/米国94.2%/中国95.6%/インド98.5%/タイ99.5% |
| AIで予定になかった場所・店・体験を足した | 31.3% |
| AIで検討する商品・ブランドが変わった | 20.0% |
| AIの情報の不満「定番や観光客向けに偏っていた」 | 27.9% |
| 不安「英語や自国語が通じるか」 | 29.3% |
| 不安「キャッシュレス決済やATM」 | 23.2% |
| 地方旅行で「地域ならではの食や食材を楽しみたい」 | 41.2% |
中国の回答者がいちばん使っていたAIは、Googleでも ChatGPT でもなく豆包(Doubao)で66.0%でした。ここが後で大事になります。
よくある誤解:「訪日客はグルメサイトの有名店にしか行かない」
AIの情報への不満の1位は「定番や観光客向けに偏っていた」(27.9%)でした。韓国では、行きたい場所として「穴場」を挙げる人が前回より15.5ポイント増えています。
ここからは見立てです。訪日客は「有名店を確認する」だけでなく、AIに条件を伝えて、自分に合う店を足していく使い方に移っています。つまり、ガイドブックに載らない個人店にも、AIの回答に入る余地があります。
ただし、AIは店の中を見られません。店の良さが文字になっていない店は、候補にすら入りにくいのが現実です。
1つめ:英語の料理名と価格を「文字」で出す
なぜ:AIは写真の中の文字より、書かれた情報を使いやすい
Googleは10月8日の公式ブログで、「マップに相談」が写真・レビュー・メニューを分析して店を提案すると説明しています。メニューが写真1枚だけだと、料理名と価格を読み取れない場合があります。
ヒロガルが2026年10月にChatGPTの飲食店の推薦回答(4回答・のべ22店)を分類した観測でも、推薦理由には口コミ・評価(77%)に次いで価格や料理名(41%)が多く入っていました(件数が少ないので仮説の段階です)。
どうやる:Googleビジネスプロフィールの「メニュー」に文字で入れる
看板料理から5品だけでよいので、日本語名・英語名・価格を文字で登録します。説明文にも「Signature dish: ○○ (Yakitori, 5 skewers) ¥○○」のように1行入れておきます。
例:英語名のつけ方
| 日本語 | 英語の書き方の例 |
|---|---|
| 牛すじ煮込み | Simmered beef tendon (Gyu-suji Nikomi) |
| 鶏の唐揚げ | Japanese fried chicken (Karaage) |
| おまかせコース | Chef's tasting course (Omakase) |
ローマ字の料理名をカッコで残すと、店内で注文するときにそのまま指させます。
2つめ:払い方と予約方法を先に答える
なぜ:不安の2割〜3割は「入る前」に解消できる
言葉の不安は29.3%、支払いの不安は23.2%でした。入口で迷うお客様は、そのまま隣の店に入ります。
海外の調査(SOCi、2026年・約35万拠点)では、ChatGPTやPerplexityが示した店舗情報が正確だったのは約68%にとどまりました。店側が正しい情報を出していないと、AIが古い情報や推測で答えてしまう可能性があります。
どうやる:Googleマップの属性と説明文の2か所に書く
- 属性:クレジットカード・電子マネー・QRコード決済の対応を設定
- 説明文:英語で「Cards accepted / Reservations: Google Maps or phone / English menu available」を1行
- 予約:Googleで予約や予約サイトのリンクがあれば設定。電話のみなら「Phone only」と書く
「現金のみ」の店も、隠さずに書くほうが来店後のトラブルと低評価を防げます。
3つめ:地域ならではの食材・料理を言葉にする
なぜ:地方旅行の目的の1位は「地域の食」
地方旅行で楽しみたいことの1位は「地域ならではの食や食材」(41.2%)で、温泉・自然(40.4%)を上回りました。
AIに「この町でしか食べられないものは?」と聞かれたとき、答えの材料になるのは、説明文・メニュー・口コミに書かれた産地名や郷土料理の名前です。
どうやる:説明文の1行目に「産地+料理名」を入れる
例:「地元の漁港から仕入れる○○を使った刺身と、郷土料理○○の店です。」
英語でも「Local specialty: ○○ (regional fish) sashimi」と1行添えます。口コミ返信でも、お客様が触れた料理名をそのまま繰り返すと、店の特徴が文字で増えていきます(お客様に書く内容を指定して頼むのはNGです)。
Point
訪日客の9割以上がAIで店を探す時代、店の良さは「文字で書いた分だけ」AIに伝わります。
売上のどこに効くか:新しい来店と、入口での取りこぼし
3つの情報は、売上の別々の場所に効きます。料理名と地域の食は、AIの回答に名前が出るきっかけになり、新しい来店数に効きます。払い方と予約方法は、店の前まで来たお客様が引き返す取りこぼしを減らします。
効果は自店の数字で確かめてください。式は「訪日客の来店数(月)= Googleマップのルート検索数 × 来店につながる割合」です。ルート検索数はGoogleビジネスプロフィールの「パフォーマンス」で見られます。今月の数字を控えておき、1か月後に比べます。
リスクと向かない店
- 中国本土からのお客様が中心の店:豆包などのAIは、Googleマップとは別の情報源を使っている可能性があります。この記事の対策だけでは届きにくいと考えてください
- 席数が少なく、すでに常連で埋まっている店:訪日客を増やすより、予約方法と「予約のみ」の明記で混乱を防ぐほうが先です
- 英語が苦手で、翻訳ツールに丸投げする場合:料理名の誤訳(例:アレルギー食材の抜け)は事故につながります。原材料だけは必ず人が確認してください
ヒロガルの見立て:訪日客の店選びは「ガイドブック」から「AIとの会話」に移る
私たちの見立てでは、半年〜1年のうちに、訪日客の飲食店探しは「AIに条件を話して、候補を3つ出してもらう」が当たり前になると見ています。31.3%がすでにAIで予定を足しており、不満の1位が「定番に偏る」だからです。
このとき得をするのは、有名店でなくても、料理名・価格・払い方・地域の食が文字で書かれている店です。損をするのは、良い料理を出していても情報が写真と日本語だけの店です。AIの回答は「書かれていること」からしか作られないため、店の実力と情報量の差が、そのまま来店の差になります。
だから今やるのは、広告や英語サイトより先に、Googleマップに英語の文字情報を足すことです。費用はかからず、15分で始められます。
15分チェック表(コピーして使えます)
| # | 確認すること | 場所 | 済 |
|---|---|---|---|
| 1 | 看板料理5品に英語名と価格が文字で入っている | GBPのメニュー | □ |
| 2 | 説明文に英語の1行(料理・予約・支払い)がある | GBPの説明 | □ |
| 3 | 支払い方法の属性が正しく設定されている | GBPの属性 | □ |
| 4 | 予約方法(リンク/電話のみ/予約不要)が分かる | GBPの予約・説明 | □ |
| 5 | 産地名・郷土料理名が説明文に入っている | GBPの説明 | □ |
| 6 | 今月のルート検索数を控えた | GBPのパフォーマンス | □ |
まとめ
- 10月9日発表の博報堂調査で、訪日客の旅行中の生成AI利用率は92.7〜99.5%
- 31.3%がAIを見て予定になかった店や体験を足している。不満の1位は「定番に偏る」
- 今週そろえるのは「英語の料理名と価格・払い方・地域の食」の3つ
- 中国本土のお客様は別のAIを使っている可能性があり、Googleだけでは届かないこともある
次に読む記事:英語・中国語で検索する訪日客に見つかるための、Googleマップ多言語対応チェックリスト/AIに勧められた店への来店は60%。情報の不備で候補から外される飲食店が直す3つの情報/飲食店のGoogle・AI検索対策まとめ
参考: - 博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ「5カ国インバウンド顧客購買意識調査2026」(PR TIMES、2026年10月9日) - Google「Google マップで最高のグルメ体験を楽しむ 3 つの方法」(Google Japan Blog) - Search Engine Land「AI local visibility report 2026」(SOCi調査の紹介)
よくあるご質問
訪日客がAIで店を探すなら、英語のホームページを作るべきですか?
先にやるのはGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)の情報です。料理名と価格、支払い方法、予約方法が文字で書かれているかを確認してください。ホームページを作る場合も、同じ内容を英語で1ページにまとめる程度から始めれば十分です。
中国からのお客様が多い店も、Googleマップの対策でよいのですか?
今回の調査では、中国の回答者が最も使っていたAIは豆包(Doubao)で66.0%でした。中国本土ではGoogleのサービスが使いにくいため、Googleマップだけでは届かない可能性があります。中国からのお客様が多い店は、普段どの口コミサイトやSNSで見つけてもらっているかを、来店時に聞いて確かめるのがおすすめです。
訪日客に「口コミを書いてください」とお願いしてもよいですか?
実体験に基づく投稿を、内容に影響を与えずにお願いすることは認められています。一方で、割引や特典と引き換えにすること、料理名など特定の内容を書くよう頼むこと、その場で書くよう求めることはGoogleのポリシーで禁止されています。国籍に関係なく同じルールです。